古代から江戸時代まで、日本の人々は日の出とともに活動を始め、日没後には早めに就寝する生活が一般的でした。この自然のリズムに沿った生活は、現代の「早寝早起き」や「体内時計調整」の先駆けとも言える習慣です。現代の忙しいライフスタイルでは意識的に取り戻す価値があります。

昔の食卓では、地域ごとの旬の食材が大切にされました。春には山菜、夏はナスやきゅうり、秋はキノコ、冬には大根やカブなど、自然の恵みをそのまま食事に取り入れる習慣が根付いていました。これにより、季節ごとに必要な栄養素を自然に摂取することができたのです。

江戸時代には温泉や湯治（とうじ）が健康管理の一環として広まりました。湯治とは、温泉地に長期間滞在し、温泉にゆっくり浸かりながら心身を癒す健康法です。現代でも「温泉療法」として注目されることがあり、リラクゼーションだけでなく血行促進や疲労回復にも効果的です。

漢方医学における「養生」は、病気にならないための生活習慣を重視しました。食事や睡眠、運動だけでなく、心の健康も養生の一環とされました。「怒りすぎない」「楽しむ時間を持つ」といった心のケアが重視され、現代のメンタルケアの先駆けと言えます。